これまで研究と経験を基に、私は有力な利益を生むひとつの信念にたどり着いた。
現在抱えているポジションは必ず負けトレードになる。しかも大きな負けトレードに・・・。
私は今でもこれを呪文のように心の中で繰り返し唱えている。
勝ちトレードの管理は簡単だ。問題は負けトレードの管理である。あなたにとって命取りとなるのは負けトレードなのである。
ポジティブシンキングの人にとって、私の信念は非常に否定的に聞こえるかもしれないが、ポジティブシンキングは必ず勝てるという思い込みにつながり、その結果、過大なポジションを建てたり、長く保有しすぎたりといった事態に陥るだけである。物事は必ずうまくいくと思っていれば、起こることのない順行を期待してポジションを抱えるハメになるのである。
自分は絶対に成功するというポジティブシンキングに浮かれれば、その自信によって負けトレードの管理はおろそかになる。トレーダーにとって思考体系が重要なのはこのためだ。現在抱えているポジションは必ず勝ちトレードになる(実際にはならない)という思考体系の人は、自分の信念に自信を持っている為に、負けトレードにしがみつき損失を放置する。成功するトレーダーはこうしたことは絶対にやらない。次の1~2回のトレードで口座は必ず好転する、あるいは少しは儲けが出るはず、といった極端なポジティブシンキングほど危険なものはない。
これまで必要以上に多くの大きな負けトレードを喫しているが、どのひとつも市場の「せい」で発生したものではない。現在のポジションは必ず勝ちトレードになると信じ込み、このゲームのルールを無視した私自身が招いた過ちにほかならない。
人の強さはその信念に裏打ちされている、という言葉には私も同感する。強い信念は、ためらうことなく確信をもって行動する力を与えてくれる。私たちは自分の信念に基づいて行動するのである。
現在のポジションはほとんどが負けトレードになるという私と同じ思考体系で市場に臨めば、損切りをして自分を守るようになるはずだ。
沈みゆく船と運命を共にするよりも、最初の救命ボートで脱出することで、損失の拡大を防ごうとするはずだ。ひとつのトレードで大きな儲けに出て、それですべての問題を解決しようとは思わなくなるはずだ。小さな損失でも、ポジションが大きければ、口座を破産させるほどの破壊力を持つことを忘れてはならない。
将来は必ずうまくいくというポジティブシンキングは過度のリスクを取る要因となる。最初から不利なゲームでリスクを取り過ぎれば、悲惨な結果を招くだけである。
( 個人的意見 )
以前、どのトレードも勝ちトレードにすると思い込んでいた時期に読んで感銘を受けた部分になります。今でも読み返して同じ過ちを繰り返していないか?と確認することが多々あります。
この文章に書いてある通り、信念を持たなければ確信をもってトレードすることはできないと思っています。逆に、信念を持ちすぎても損失は上手くコントロールすることはできないと感じています。
この相反する考えの調和をとっていくことが難しさでもあり、面白味でもあると感じています。
「 180 ( one-eighty ) 」のところでも紹介した、
「 相対するものが互いに補足し合えば、すべての調和が保たれる。」と老子が言っていたように、何事にも精通する考え方なんだと感心したことを覚えています。
からの抜粋になります。
参考になれば幸いです。